2026年9月28日、ハピネット(7552)が中間期の業績予想を大幅に上方修正しました。理由のひとつが「カプセルトイの販売が大きく伸びたこと」。街中でもガチャガチャの専門店を見かけることが本当に増えましたよね。
メイン層は20~30代の女性でしょうか。ウチの妻も頻繁に買ってきます。
そこでこの記事では、カプセルトイ市場がどれくらい伸びているのかをデータで確認したうえで、関連銘柄をバンダイナムコHD・タカラトミー・ハピネットの3社に絞って、直近の決算内容まで掘り下げていきます。
カプセルトイ市場はどれくらい伸びているのか

日本カプセルトイ協会の調査によると、2025年度の市場規模(製造元出荷ベース)は約1,960億円。前年度の1,410億円から39.0%増で、統計開始の2022年度(約720億円)から見るとわずか3年で3倍弱に拡大しています。
■参考
日本カプセルトイ協会公式サイト:https://www.japan-cta.org/news/jacta20260219/
プレスリリース(PR TIMES):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000178228.html
なお、この調査はカプセルトイマシン専用の国内向け商品に限った数字で、イベント物販などを含めると市場規模は2,000億円を超えるとみられるとのこと。「実態はもっと大きい」のかもしれません。
伸びている4つの理由
- 売り場の拡大:カプセルトイ専門店は2026年1月末時点で全国900店舗以上。1年で200店舗以上増えています
- 単価の上昇:400円・500円の商品が全体の約半数(48.1%)に。大型カプセル対応マシンの登場で、フィギュアやぬいぐるみなど高単価商品も扱えるようになりました
- 客層の広がり:中心は20〜30代女性。「平成女児」ブームなど、大人が自分のために買う市場になっています
- 節約志向との相性:物価高の中、数百円で楽しめる手軽さが支持されているという見方もあります
一方で気になる点も
首都圏の主要都市周辺ではすでに専門店が飽和気味で、店舗間の競争が激しくなっているという指摘もあります。今後は地方・路面店への出店や業界再編がテーマになりそうです。
関連銘柄は「作る→卸す→売る」で整理する
カプセルトイで稼ぐ企業は、大きく3つの役割に分かれます。
- 作る(メーカー):商品を企画・製造する。バンダイナムコHD、タカラトミー
- 卸す(流通):メーカーの商品を売り場に届け、マシンを設置・運営する。ハピネット
- 売る(売り場運営):専門店を運営する。ハピネット、バンダイナムコグループなど

今回3社に絞った理由
カプセルトイ関連として名前が挙がる企業はほかにもありますが、時価総額が小さい、あるいは本業に占めるカプセルトイの比率(テーマ純度)が低い企業も多く含まれます。この記事では、事業規模・安定感があり、かつカプセルトイが業績に効いているという観点で3社に絞りました。
① ハピネット(7552)|流通と売り場を押さえる「純度」No.1
事業内容とカプセルトイの位置づけ
バンダイナムコグループとも関係の深い玩具卸の大手です。カプセルトイは「アミューズメント事業」に含まれ、売上高に占める比率は14.9%(2026年3月期)。比率自体は大きくありませんが、増益が続く成長事業です。
専門店「gashacoco(ガシャココ)」を全国154店舗運営(2026年3月期末時点)し、国内カプセルトイ市場の約60%の流通シェアを持つ(同社調べ)とされています。米国での専門店運営も始めており、海外展開も進行中です。
直近の開示:9月28日の上方修正
| 項目 | 修正前 | 修正後 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,000億円 | 2,300億円 |
| 営業利益 | 78億円 | 135億円(+73.1%) |
| 純利益 | 50億円 | 90億円 |
2027年3月期の中間期(4〜9月)予想の修正で、純利益は従来予想の「前年同期比25%減」から「35%増」へと一転増益になりました。要因は、玩具事業でコンビニ向けのくじ・トレカが好調だったことに加え、アミューズメント事業でヒット商品が出てカプセルトイの販売が大きく伸びたことです。
注目点
中核の玩具+カプセルトイが牽引している点は評価できる一方、「ヒット商品」に頼った部分がある分、来期以降も同じペースが続くかは割り引いて見る必要があります。また通期予想は、クリスマス・年末年始商戦の不透明さを理由に据え置き。11月の中間決算で通期予想に踏み込むかが次の焦点です。
■参考:ハピネット IRニュース(2026年9月28日「業績予想の修正に関するお知らせ」)
https://www.happinet.co.jp/ir/news.html
② バンダイナムコHD(7832)|「ガシャポン」を持つメーカー最大手
事業内容とカプセルトイの位置づけ
「ガンダム」をはじめとするIPを軸に、玩具・ゲーム・映像などを展開する大手です。2026年3月期の売上高は1兆3,482億円で、売上高・全利益で過去最高を更新しました。
カプセルトイブランド「ガシャポン」は、2024年度の売上実績で「カプセルトイ世界売上No.1ブランド」としてギネス記録に認定されています。売り場側でも、公式大型専門店「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」が2026年9月に国内300店舗を達成しました。
ただし会社全体の規模が非常に大きいため、カプセルトイは「トイホビー事業の一部」という位置づけ。テーマ純度は3社の中で最も低い一方、業績の安定感は抜群です。
直近の決算:2027年3月期 第1四半期
| 項目 | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,284億円 | +9.3% |
| 営業利益 | 692億円 | +33.3% |
| 経常利益 | 744億円 | +36.3% |
売上高・全利益で第1四半期として過去最高。あわせて上期の営業利益予想を840億円→1,240億円に上方修正しています。牽引役はトイホビー事業で、ガンプラ・一番くじ・トレカなどが好調で売上高31.2%増、セグメント利益88.8%増。一方でデジタル事業は前年の大型タイトルの反動で減収減益と、中身はまだら模様です。
注目点
トイホビーの大幅増益には、北米子会社で計上した米国追加関税の還付金という一過性の要因が一部含まれています。一方で通期予想は営業利益1,850億円(前期比2.4%減)の減益計画のまま据え置かれており、1Q時点の進捗率は営業利益で37.4%。計画はかなり保守的に見える状態で、ハピネット同様、11月の中間決算で通期がどうなるかに注目です。
■参考:2027年3月期 第1四半期決算短信
https://www.bandainamco.co.jp/files/01_2027E5B9B43E69C88E69C9FE7ACACEFBC91E59B9BE58D8A.pdf
③ タカラトミー(7867)|大人需要と海外で伸びるメーカー2番手
事業内容とカプセルトイの位置づけ
「トミカ」「プラレール」「ベイブレード」で知られる玩具大手です。カプセルトイは子会社のタカラトミーアーツが「ガチャ」ブランドで展開しており、日本セグメントの中に含まれます。ガチャやぬいぐるみなど大人向け(Kidults)商品の強化、インバウンド需要、アジアでのアミューズメントマシン展開に力を入れています。
直近の決算:2027年3月期 第1四半期
| 項目 | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 640億円 | +7.7% |
| 営業利益 | 55億円 | +19.9% |
| 経常利益 | 56億円 | +13.4% |
日本セグメントでは「トミカプレミアム」や「ポケモン」関連商品と並んで、ガチャ・ぬいぐるみが好調でした。タカラトミーアーツのガチャやアミューズメントマシンは国内外で堅調で、アジアでは新機種の稼働も進んでいます。
注目点
1Qの経常利益は上期計画115億円に対して進捗率48.9%と、過去5年平均(33.6%)を大きく上回っています。通期予想(売上高2,850億円・営業利益260億円)は据え置きのため、上期・通期の上方修正余地がありそうです。一方、アメリカズではERPシステムの不具合で出荷遅延が発生しており、関税還付で利益は黒字化したものの、ここは一過性要因として割り引いて見ておきたいところです。
■参考:タカラトミー IRライブラリー(決算短信/説明会資料)
https://www.takaratomy.co.jp/ir/financial/review.html
3社比較まとめ
| ハピネット | バンダイナムコHD | タカラトミー | |
|---|---|---|---|
| 役割 | 流通・売り場運営 | メーカー・売り場運営 | メーカー |
| カプセルトイの位置づけ | アミューズメント事業(売上の約15%) | トイホビー事業の一部 | 日本セグメントの一部 |
| テーマ純度 | 高 | 低 | 中 |
| 直近の開示 | 中間期予想を大幅上方修正(9/28) | 1Q過去最高・上期予想を上方修正 | 1Q増収増益・上期進捗48.9% |
| 通期予想 | 通期予想は据え置き | 通期は減益計画のまま据え置き | 通期予想は据え置き |
面白いのは、3社とも上期は好調なのに通期予想を据え置いている点です。年末商戦の不透明さを考慮した保守的な計画とも読めるので、11月上旬の中間決算が3社共通の山場になります。
カプセルトイ関連株のリスク
- 売り場の飽和:首都圏では専門店の競争が激化。出店ペースが鈍れば市場の伸びも鈍化します
- ヒット依存:人気IP・ヒット商品の有無で業績がぶれやすい
- ブームの一過性:過去にもカプセルトイは大ブームの後に市場が縮小した歴史があります
- 一過性要因:直近決算には関税還付金など、翌期に剥落する利益も含まれています
まとめ
カプセルトイ市場は3年で約3倍に拡大し、売り場の拡大・単価上昇・大人需要という複数の追い風が重なっています。関連銘柄をテーマ純度で見るならハピネット、業績の安定感ならバンダイナムコHD、上方修正余地という点ではタカラトミーと、3社でそれぞれ特徴が異なります。
カプセルトイというテーマ性は完全に内需で、半導体やAIと比べて煌びやかなテーマ性ではありませんが、意外と小さいカプセルの中にはお宝が眠っているのかもしれませんね。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
