開示日:2026/8/13 業種:非鉄金属
修正前予想(2026年5月12日公表、通期・億円) ・売上高:2,357 ・営業利益:90 ・経常利益:87 ・純利益:51
修正後予想(2026年8月13日公表、通期・億円) ・売上高:2,590 ・営業利益:100 ・経常利益:97 ・純利益:145
修正率:売上高+9.9%/営業利益+11.1%/経常利益+11.5%/純利益+184.3%
進捗率(Q1実績÷通期予想):売上高23.3%/営業利益39.0%/経常利益47.6%/純利益27.9% ※後述の通り、純利益の大幅な修正は主に第2四半期(7-9月期)に計上予定の一過性利益によるもので、Q1実績には未反映です。
【成長ドライバー】
金属部門における銅価上昇(海外相場上昇+円安)に伴う価格差益+電子部門の高純度金属ヒ素(MBE装置向け需要増)・窒化アルミセラミックス(半導体製造装置向け需要拡大)+化成品部門の酸化銅(AIサーバー向けパッケージ基板需要拡大)・亜酸化銅(船底塗料需要堅調+価格改定)+ユニック部門の東南アジア・北米向け出荷増+新規連結子会社アーステクニカの寄与+豪州旧製錬所跡地の売却完了に伴う固定資産売却益(約60億円)+政策保有株式売却益
【見通し】
2027年3月期通期の連結業績予想を、売上高2,357億円→2,590億円(+9.9%)、営業利益90億円→100億円(+11.1%)、経常利益87億円→97億円(+11.5%)、親会社株主帰属当期純利益51億円→145億円(+184.3%)に上方修正した。
第2四半期(中間期)予想はさらに大きく修正されており、純利益は25億円→83億円(+232.0%)となっている。
修正理由として、売上高・営業利益は金属部門の銅価上昇に伴う価格差益に加え、電子・化成品部門、不動産事業も前回予想を上回る見込みであることが挙げられている。
純利益の大幅な上方修正は、8月12日発表の「連結子会社による固定資産の譲渡完了および特別利益の計上に関するお知らせ」による影響が大きい。PKC Properties Pty. Ltd.が保有していた豪州旧製錬所跡地の譲渡が完了し、固定資産売却益約60億円を特別利益に計上する見込みとなっている。あわせて政策保有株式の一部売却による投資有価証券売却益も見込まれている。
なお、配当予想については修正なし(年間80円を据え置き)。
【上振れ余地・注目点】
セグメント別(Q1実績、前年同期比)
・産業機械:売上高34.45億円(△7.87億円)/営業利益1.62億円(△1.73億円)※減収減益 ・ロックドリル:売上高93.06億円(+13.82億円)/営業利益6.02億円(△1.62億円)※増収減益 ・ユニック:売上高70.91億円(+3.09億円)/営業利益4.95億円(+3.44億円) ・アーステクニカ(新設):売上高46.17億円/営業利益1.53億円 ・金属:売上高285.41億円(+46.32億円)/営業利益17.19億円(+8.55億円) ・電子:売上高20.36億円(+5.21億円)/営業利益2.64億円(+2.42億円) ・化成品:売上高35.04億円(+8.66億円)/営業利益4.95億円(+3.03億円) ・不動産:売上高6.41億円(+0.88億円)/営業利益2.80億円(+0.76億円)
産業機械部門は橋梁工事の出来高減少・ポンププラント売上減により減収減益。ロックドリル部門は海外(北米向け油圧クローラドリル等)が好調な一方、国内の減収と在庫の未実現利益消去額増加により減益となった。
実質成長 vs 一過性・外部要因
今回の通期純利益上方修正(+94億円)の大部分は、豪州旧製錬所跡地の売却益(約60億円)と政策保有株式売却益という一過性の特別利益によるものであり、事業の実質成長とは切り分けて評価する必要がある。
金属部門の増収増益も、電気銅の生産量は前年同期比1,949トン減、販売数量も減少しており、海外銅相場の上昇と円安による価格差益が主因。数量ベースでは伸びておらず、市況・為替という外部要因が中心である点に留意したい。
アーステクニカ部門は2026年8月に新規連結子会社化(株式会社アーステクニカ、株式会社アーステクニカM&S)したことによる増収(売上高46.17億円)であり、既存事業の有機的成長(オーガニックグロース)ではない。
一方、電子部門(高純度金属ヒ素・窒化アルミセラミックスとも半導体関連の実需拡大)、化成品部門の酸化銅(AIサーバー向け需要拡大)、ユニック部門(東南アジア・北米向け出荷増)は、価格要因だけでなく需要・数量面での実質的な成長が確認できる。
財務
総資産3,249.73億円(前期末比+525.97億円)。 純資産1,676.86億円(前期末比+174.84億円)。 自己資本比率49.5%(前期末54.1%、△4.6ポイント)。
有利子負債は791.52億円(前期末比+218.29億円)と大きく増加しており、アーステクニカ買収に伴う資金調達や運転資本(原材料・仕掛品)の増加が背景にあるとみられる。自己資本比率の低下と合わせ、財務レバレッジがやや上昇している点は注目点。
配当
2027年3月期の配当予想は年間80円(中間40円・期末40円)で、前回予想から修正なし。前期(2026年3月期)実績も年間80円(中間30円・期末50円)で、金額水準は同じだが期中の配分が変更されている。
大幅増益にもかかわらず増配を伴っていない点は、今回の利益押し上げが一過性要因中心であることの裏返しとも解釈できる。
リスク・留意点
銅価格は変動が大きく、下期以降に相場が反落した場合、金属部門の価格差益は剥落する可能性がある。
【総評】準1軍
理由:通期純利益の上方修正額94億円のうち、豪州旧製錬所跡地の売却益(約60億円)と政策保有株式売却益という一過性の特別利益が大部分を占めており、事業の実質成長による押し上げとは言い難い。
金属部門の増収増益も、電気銅の生産・販売数量はむしろ減少しており、海外銅相場上昇と円安という市況・為替要因が主因。実質的な数量成長ではない。
一方、電子部門(半導体関連の実需拡大)、化成品部門(AIサーバー向け需要)、ユニック部門(海外出荷増)では、価格だけでなく数量・需要面での実質的な成長が確認でき、機械事業・素材事業の一部には確かな地力もある。
大幅増益にもかかわらず配当予想が据え置かれている点も、今回の利益成長の性質(一過性中心)を裏付けている。実質成長も部分的には見られるが、決算のヘッドライン数値(特に純利益+184.3%)をそのまま実力と評価するのは適切でないため「準1軍」とした。
