開示日:2026/8/14
業種:電気機器
修正前予想
・売上高:3,800億円
・営業利益:600億円
・経常利益:550億円
・純利益:330億円
修正後予想
・売上高:3,800億円
・営業利益:600億円
・経常利益:550億円
・純利益:360億円
修正率:純利益+9.1%(売上高・営業利益・経常利益は変更なし)
進捗率(Q1実績÷通期予想):売上高48.0%/営業利益46.8%/経常利益49.6%/純利益59.8%
【成長ドライバー】
米国・中国メーカー向け真空シール・金属加工製品の高水準受注+半導体製造装置向け石英・セラミックス製品の需要拡大(設備投資増加+工場稼働率向上)+AIデータセンター向け光トランシーバー(通信容量1.6T新機種)向けサーモモジュールの出荷拡大+通信関連センサの売上増加+収益性の高い製品構成へのシフト
【見通し】
2026年12月期通期予想は、2026年7月22日公表分から売上高3,800億円・営業利益600億円・経常利益550億円を据え置いた。
親会社株主に帰属する当期純利益のみ330億円→360億円(+9.1%)に上方修正している。
修正理由は「営業外損益及び特別損益の各項目等について精査を行った結果」としている。事業利益(営業利益・経常利益)ではなく純利益段階での修正である点に留意。
なお2027年12月期以降の中期経営計画数値は本日時点で変更なしとしている。一方で「現行の目標を上回る水準で推移する可能性もある」ともコメントしており、今後の業績動向を注視した上で内容確定次第、改めて正式開示予定としている。
参考として、年初来の上方修正の推移を見ると、2026年12月期の売上高目標は2026年5月15日時点で3,400億円だった。7月22日開示で3,800億円まで引き上げられている。今回8月14日の修正はその後の純利益部分の微修正にあたる。
【上振れ余地・注目点】
セグメント別
(2026年4-6月、決算日12月の子会社は2026年1-6月を連結)
・半導体等装置関連事業:売上高1,181.53億円/営業利益160.73億円
・電子デバイス事業:売上高399.54億円/営業利益117.83億円
・車載関連事業:売上高160.46億円/営業利益10.98億円
・その他:売上高82.83億円/営業損失4.42億円
製品別成長率
(実質上期実績・前年同期比)
・真空シール・金属加工:+53.4%
・セラミックス:+34.2%
・半導体-その他:+27.9%
・石英製品:+16.9%
・サーモモジュール:+78.3%
・車載関連:+0.3%
AI・半導体投資関連製品が牽引している。一方で車載関連は伸び悩んでいる。パワー半導体用基板は中国向け需要が回復基調にあるが、サーモモジュール(車載向け)はやや低迷している。
財務
総資産7,504.28億円(前期末比+611.9億円)。
自己資本比率43.1%(前期末37.6%)。
1株当たり純資産5,998.82円。
ただし自己資本比率の改善には、転換社債型新株予約権付社債(2028年満期ユーロ円建)の株式転換が寄与している(資本金・資本剰余金それぞれ+124.9億円)。収益力向上のみによるものではない点に注意。
実質成長 vs 一過性・外部要因
親会社株主帰属純利益215.19億円には、一過性の特別利益が含まれている。
再生ウエーハ事業を行う連結子会社が持分法適用会社に異動したことに伴う持分変動利益27.91億円が計上されており、これは事業の実質成長ではない。
一方、経常利益は為替差損8.21億円の発生等によりやや圧迫された。
また純資産増加の一部(為替換算調整勘定+196.92億円)も円安による外部要因である。実質的な事業成長分とは切り分けて評価する必要がある。
配当
2026年12月期予想の年間配当金は200円。前期実績148円から増額している。
内訳:第1四半期末100円(普通75円+特別25円)、期末予想100円(普通75円+特別25円)。
DOE(連結株主資本配当率)を新たに採用し下限3.5%を設定。自社株買いも機動的に検討し、総還元性向50%を目指す方針。
リスク・留意点
2026年12月期は決算期変更(3月末→12月末)の経過期間にあたる。
親会社は2026年4-12月の9カ月決算。12月決算の連結子会社は2026年1-12月の12カ月決算。両者で決算期間が異なる変則的な設定になっている。
このため前年同期比の開示がなく、四半期進捗率も単純比較には不向き。
決算補足説明資料はセグメント別業績を億円単位・百万円単位で端数処理しており、決算短信の数値と完全には一致しない場合がある旨が資料内に明記されている。
【総評】1軍
理由:半導体等装置関連事業(実質上期実績・前年同期比+33.7%)、電子デバイス事業(同+42.2%、うちサーモモジュールは+78.3%)ともに、AI・半導体投資という構造的需要に支えられた実質成長である。
持分変動利益や為替差損益といった一過性要因を除いても、営業利益ベースで大幅な増益基調にある。
また2026年12月期の通期計画は5月15日→7月22日→8月14日と短期間で複数回にわたり上方修正されている。これは実質的な需要の強さの裏付けと見なせる。
一方で、車載関連事業は+0.3%とほぼ横ばいで力強さを欠く。2027年12月期以降の中期経営計画は「計画全体を見直し中」で数値が確定していない点もやや不確定要素として残る。
総合すると主力2事業の実質成長が牽引役として明確であり「1軍」評価とした。
